「黒百合は恋の花」と歌に歌われます。
そして今、黒百合が、染めの色としてよみがえりました。
白山に咲く天然記念物の 黒百合から良い色がでるという伝承を元に、「直接に緑の色は出せない」と言われている萌葱(もえぎ)色の染色を完成させることができました。
右の写真でお分かりのように、生成り色、薄いピンク、薄い萌葱色がすばらしい光沢を放っています。これらで織られた先染めは色無地や、センスの良い縞柄。(下図をご参照下さい)
白山の黒百合は天然記念物なので、ほぼ同じ品種の物をよそから入手し、環境が適した山中に球根を植えて育てるのですが、それにしても原料不足です。
1反の黒百合染めを作るには、2,000の花が必要です。1花に6枚の花びらがありますから、12,000枚の花びらを使って1反が染められます。
先染めの風合いが良いのは、このように白山の四季の植物や気候風土がそのまま、染料や作業工程に織り込まれているからですね。
年間生産量は約10反のみ。原料の安定化に苦労しながら、良い色作りの絶え間ない努力が続いています。
一般には、ご覧いただくことすら出来ない稀少性です。

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高原に6月に咲く黒百合

黒百合から染められた糸

黒百合の花を干した物 |