風の盆の頃は、毎年肌寒く雨が多いというジンクスを覆して、残暑が厳しく、例年の1/30という降水量の白峰を訪れました。小松空港から車で1時間ほどで白山麓へ。途中、ドーンと大きく横たわる手取川ダムを横目に見ながら、小さなトンネルをいくつか越えると白峰村です。1日目は、静かにホテル泊。
翌日、織りの資料館白山工房で、牛首紬の紡ぎから機織までの工程を見学し、小物などを買って、遊月(ゆうげつ)山荘へ。作家の高橋 治先生と女優の真野響子さんが目前で、「重ねの色目」のお話をしてくださいました。
真野さんが着ていらっしゃる濃藍の牛首紬がとても色っぽくて、しっとりした風情が遊月山荘に溶け込んでいました。
その日の夜は、いよいよ「風の盆」です。この祭りのハイライトを狙って、夜中の10:30に白峰をバスで出発。渋滞のため、八尾に到着したのは夜中の1:00近く。3000人の町が、祭り中は30万人に膨れ上がるとのことで、観光バスだらけ。
「風の盆」は、富山県八尾(やつお)で、毎年9月1日から3日間行われる行事です。越中おわら節を古くから歌いついでいるのですが、歌もさるものながら、から笠をかぶった若い男女の踊りの名手達が、三味線と胡弓の音にあわせて、静かに街中を踊りまわる様子は、神々しいほどのりりしさです。
真っ暗な闇夜に赤く連ねた提灯明かりの路地を、いつ現れるかわからない踊人達を捜して、私たち観光客は、さまよいます。
少しでも雨が降れば、胡弓の演奏はストップ。踊りも中止です。きちんとした踊りの隊列に1回でも合えれば幸運です。カメラ撮影は厳禁。
そして・・遭遇しました・・・素敵でした。
ものすごく踊りを楽しんでいる踊り人達の表現が、確実で洗練された身のこなしの中に凝縮されているようです。
多くの人が、この幽玄の世界に引き付けられることに納得して、眠い目をこすって帰路へ。
3日目、金沢観光をし、白峰の哀愁にひたったまま小松空港を飛び立って、羽田に着いたら、この世の世のものとは思えない暑さに、現実に引き戻されました。 |