きもの美人 
初春 No.2 2001年  (13)


車の運転のために、帯なしで着られるようにと二部式にして、上を引っ張り(サムエの袖が元禄袖みたいな形)にしたら、着易くて、面白くて、きものの改造が止められなくなりました。

ホテルも山仕事も、この形で使えます。

今日は、ハレの装いです。



飯島洋子さん

滋賀県大津市の琵琶湖に流れ込む川の
一つ、安曇川の上流にある葛川(かつらがわ)
は、 比良山系の西側に位置し、京都大原
からは車で30分の山里です。
標高500メートル、大阪城のテッペンと同じ高さです。

夏は冷たい川の水遊び、冬は雪あそびに人々が集まります。耕地はほとんどなく、 山仕事のない現在、人々は町に暮らしを求め、過疎の地になっています。

この自然環境に魅せられて入植し10年、 趣味の草木染めを初め、工夫を凝らしたきもの作りなど、自然とともに毎日わくわく生活なさっています。 


この赤いきものは、30年以上前のろうけつ染めです。

きもの作りの面白さは、自分がどんどん工夫して満足できる形を作り出せること、そしてそれがj自分だけのオリジナルであることだそうです。



       

 

洋裁で身に付けた知識と技術を駆使して、
思いのままに
仕立てます。

そでやスリットなど、反物の上にボール紙を
置いてみて、カーブはこの位かな?と
楽しい時間です。

繰越しが足りなくなって、裏地で調整
したこともあります。



この二部式きものの上着は、
前身ごろ
の片身を1枚の反物で
作りました。

脇にスリットも入っています。


ポロシャツとセーターを着て、袖口の絞った、
サムエを着 て、ズボンの上に巻きスカートを
付けると、とても暖かくて、この冬は、 ずっと、
このスタイルだそうです。

風光明媚で自然の恵み溢れるこの地が気に
入って、
山村留学からスタートして3人の息子さん
とご主人を
説得して住み始めてからは、
お寺のサークルを通して、
つるで籠を作ったり、
とちの実を拾ってお餅をついたり、

木地師の方とお茶のなつめを作ったり、
自然と共に
忙しい毎日です。

第2の青春バクハツの感ありです。(笑)



二部式きものを、友達がみんなが、

素敵と行ってくれるのが嬉しくて、
ウールの常着の着物を、
真ん中でちょんぎって上下にして、
セーターとズボンの上に、防寒を兼ねて
着ています。

とても暖かくて、雪が積もった時は、
さっと、下の腰巻き風は外して、
雪かきに向かいます。




草木染めを始めて3年
自然界の大抵のものが染料になります。

奥は、たまねぎの皮で、
手前は、桜の皮で染めたストール。
一番大変なのは、焚き木を拾って
来ることかな?と。

洋子さんの草木染めのサイトはここ


この袋、紬を縫って、
帯締めで手を作りました。

反物を見て、何を作ろうかと
思うと楽しくて、時間を
忘れます。


京都では、節分の行事が色々あって、
北野天満宮と壬生寺で狂言を見 に行った
の写真です。


 


洋子さんからのメールです。

51才の主婦です。 若いときから、着物好きで、冬になると、着物でという年が、何年もあったのですが、
子育てに明け暮れる間に、そういうこともなくなっていたのですが、だんだん、身軽になって、
わたしの趣味が、草木染と言うこともあって、着物地で、洋服を仕立てたり、サムエ風に着たり、
楽しんでいたところ、あなたの素敵に・・・を見させてもらうようになって、やっぱり、着物を着たいなと
思うようになりました。

だけど、住んでいるところが、山の中で、自動車に乗らない日はない位なので、
帯の太鼓が気に入りません。すごく運転がしにくいのです。

そこで、帯なしで着られるように、2部式にして、上を引っ張り(どういう風に言えばいいのか、
サムエの袖が元禄袖みたいな形)にしました。

下の着物も、襦袢も、同じ形にして、半幅帯に、貝の口で、着ると、アンサンブルを着ている
みたいになって、これは行けると言うことになりました。みんなが同じでなくて、いいと思います。
これだと、ちっとも苦しくないので、一日中でもかまわないし、お正月に、東京に旅行することが
あったのですが、着ていきました。
下を変えたり、上を変えたりで、気分を変えることも出来て、とても良かったです。

友達がみんな、素敵と行ってくれるのも、嬉しくて、今度は、ウールの常着の着物を、
真ん中でちょんぎって、上下にして、セーターとズボンの上に、防寒を兼ねて、着ています。

とても、暖かくて、ここは雪が積もるんですが、その時は、さっと、下の腰巻き風は外して、
雪かきに向かいます。
そんなことで、新しい着方を発見して、とても、喜んでいます。お正月に着たのは、
浜縮緬(滋賀県長浜産) だったので、今度は、紬で挑戦中です。
良い、きっかけをいただいたことを喜んでいます。ありがとう。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

わたしは、普段に、着物を着たくて、何とか、帯をしない方法と、 考えて、二部式にしたんですが、
そうして、何度も着ているうちに、 普通の長着の合理的な面が、いろいろ、発見されて、
やっぱり、今の形に なったのは、今までの人が、いろいろ考えて、こうなったのだと わかってきて
感心しています。

たとえば、奥身が付いている事。たとえば からあげがあること。 たとえば帯があること。
わたしは、ずっと洋裁をしてきたので、着物が、長方形の形が、 躰に添うのが、不思議だったのです。

体に合わせて作れば作るほど、あの、しゃきっとした形が消えてしまうの で、今、何枚も作りながら、
工夫しているところなのですが、元の形に戻る のかなと思っているこのごろです。
しかも、和裁はほとんど知らないのに、母に聞きながら、
仕立ててある着物 を見ながら縫っているので、なかなか気に入るところに行きません。
でも、そうして作ることが、気に入っています。


前ページへ   次ページへ