きもの美人        
冬 No.2  2000年  (8)



きものも、半衿や羽織紐の色を変えるだけで雰囲気が変わります。
この帯は
白献上で、この色を変えてもまた違う、と。

きものを着始めたのは、入門してからだそうですが、 いよ〜おう!
リュウラクさあ〜ん!
と黄色い声が聞こえそう。





三遊亭 竜楽さん

三遊亭円楽さんのお弟子さんとして、キャリア15年目の中堅です。

きめ細かい噺(はなし)振りで、緩急自在にあやつる古典落語の本格派、役の変わり目のあざやかさが水際だっています。」とは、この日の自称追っかけの方の言。

独演会を開いて固定ファンを多く掴んでいらっしゃいます。


このあでやかさはどこから?
「見せる」というのは、「魅せる」なんですね。

黒紋付の紋は三つ組みの橘(たちばな)。

この日のおきものは、グリーンの細い縞の
銘仙でした。

噺(はなし)始めると熱くなるし、最近は暖房が良く効いているので、きものは、ほとんど単衣仕立てです。


三遊派落語研究会、銀座落語会の開演
前に撮影させていただきました。

三遊派の落語は、笑いよりもストーリーの
写実性に重点を置いているそうです。
だから、見ていて動きがある。

ついつい引き込まれてしまう面白さに、
「ああ落語って面白い」と感じた一夜でした。
    

衣装は、演題の主役に合わせたものを着る
ように心がけて
いらっしゃるそうです。

今日の演題は河豚鍋(ふぐなべ)。
旦那(だんな)と
太鼓持ちの掛け合いなので、
旦那に併せた羽織を
着ます。

舞台用のきもので気をつけることは、
羽織を脱ぐタイミング。
そしてきものの裾を長めに作ると見栄えが
するとの事。

羽織を素早く脱ぐための喧嘩(けんか)
結びをやって
下さいました。
さっと外れます。


    

お弟子さんが、「竜楽師匠は、一門で一番落語の
ことを考えていらっしゃる。24時間落語づけでは?」
とおっしゃっていました。
芸に対する厳しさが、言葉の端々に感じられました。

舞台の直前まできものは着ません。
そして、さっときものに着替えたら役柄に成り
きるそうです。
(すごーい!さすがー!)

何人かのお弟子さんが、黙々、てきぱきと、お茶を
出したり、きものを畳んだりして、きりっとした雰囲
気が良かったです。




  

公演のための移動が多いので、きものの
畳み方は重要なポイント。
各門派によって違います。

三遊亭一門の畳み方はこれ。
帯はN字型にして、重ねた時にでこぼこが
出来ないようにします。
帯も襦袢も手ぬぐいも一緒に、このまま
風呂敷にさっと包んで持ち運べます。
生活の知恵。
  

手や顔の表情と同様に、
扇子手ぬぐい
色んな小道具に変身して、役づくりの脇役を
務めます。

左上の手ぬぐいは、色んな色柄があるんです。
手前の扇子は厚手の紙に竜楽さん直筆の
サイン入り。

   

長襦袢の背中は寿の文字に七福神
が遊んでいます。

下着姿もイキですねえ。



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