きもの美人 
冬 No4  2000年(10)


これはお稽古着です。
衿元の赤い衿は、半衿ではなく肌襦袢の衿。

菊五郎劇団は、とっても団結が堅いんです。
開演前に、道具の方と照明さんのご協力で、橋の上でワンショット!
うう〜ん、しどけない!

「おはようございま〜す」と、役者さん、道具方さん、衣装さん、技術さん、みなさん明るくとっても親切な方々でした。





尾上 菊三呂さん

尾上菊五郎劇団に入って18年目
今回の公演では、仲居お吉役です。

国立劇場の12月歌舞伎公演
「富岡恋山開 新歌舞伎十八番の内 素襖落」 の楽屋裏にお訪ねしました。

後ろに掛かっているのは、楽屋ののれん。
だんな(菊五郎さん)が下さったもの。
各部屋によって、違う絵柄です。



菊三呂さんが、とっても明るい気さくな方なので、女将が勝手に作り上げていた女形のイメージが壊れてしまいました。(笑)

素顔の菊三呂さんのファンになっちゃいました。

    

日本舞踊、三味線、お琴、長唄、
義太夫などの成果が隅々に現れます

とっても白くて奇麗な手をしていらっ
しゃいます。
   

「しどころ」がある役がいい。
色んな感情移入ができて、自己表現できる
から、と。

立ち居振舞いが、「これぞ女」っていう感じ。
女より女を知っている菊さま
 

おけいこ着の、阿波のしじら織りです。
おけいこ着は動きが激しいので、絹では
膝が抜けてしまいます。
丈夫で着易い木綿を愛用しています。

夏は浴衣。
冬は浴衣の上に単衣のしじら
織りを重ねて
着ています。



                  



  



衣装さんが、着付けてくれます。

との粉やファンデーションを使って顔を作り、

きものを着ながら感情移入して、

役に成り切っている途中?

メイクは、
まゆに油を塗って肌にぴったりくっつかせ、
真っ白にドウランを塗った上から、筆で眉を描きます。
思いのままに描けます。
まゆは、笹の葉っぱを横に半分に切った形が基本
です。

  

ああ、菊三呂さん!
ここまで脱いで下さいました。
まったく気さく(^v^)

肌襦袢に色衿がついていて、役柄に
よっては、この衿を出します。
舞台の時は、腰と胸にタオルで補正を
します。
   

   これは、箱(はこ)という形の帯結び


   

   普通の貝の口

   仲居さんの役なら、角出しやひっかけ。
   遊女ならだらりの帯、娘役は板締めなどの
   帯結びが多いとか。


      


お客さまからのメッセージ
花里さんより

菊三呂丈の、橋の上のショットが何とも言えません。
足の曲げ方、ポーズの取り方、 どれを見ても、すぐに女形と分かるお茶目で素敵なお姿です。
とにかく印象的です。肌襦袢のお姿もショッキングかもしれませんが。
そうそうこんなかっこうなんて、私は、日本舞踊を習っているので、わが身に置き換えて見ていま した。

菊三呂丈のお稽古着は参考になりました。
以前浅草の初芝居にアルバイトで行ったとき知ったのですが、休憩時間にロビーに現 れる役者さんの、役者さんだとすぐに分かるのが重ね着スタイルでした。
あれは、木 綿の着物と浴衣の重ね着だったのですね。

考えるまでもなく、どちらも木綿。お稽古 には、木綿が一番なんだと分かりました。
やっぱり浴衣は、菊五郎格子なんでしょう ね。
でも、軽い着物ばかりで踊っていると、本衣装を着たときに困らないのでしょうか。

私は舞台があるときは、数ヶ月前から練習用の衣装を着て稽古します。
役者さんは慣 れてらっしゃるからそんなことなさらないのでしょうか。
お写真から想像するだけじゃなくて、是非、舞台の菊三呂丈を拝見したいと思いまし た。

菊五郎劇団にこんな素敵な方がいらしたなんて今まで知りませんでした。歌舞伎 好きなのに・・・。
きものを着ると、日本の殿方は皆、男ぶりがあがると思うのですが、役者さんの場 合、そこに男の色気が加わって、女形さん(ちなみに私は根っから女形好きです)だ と匂やかな色気になると思うのです。

普段から立ち居振舞いなど気をつけていらっ しゃるからこそかもし出されるものなのでしょうね。
生まれつき女だと、その辺少し 鈍感になるのかもしれません。
女の私が見習うべきところです。そうかと言って踊り で男にもなりきれないから、手を焼くんですよ。 ☆**☆  

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