きもの美人 
冬 No.5  2000年  (11)


通子さんは、着慣れているを通り越して、きものを着ているのが当たり前の生活をなさっています。


晩年かな?と思っていたきものオンリーの生活を早々とスタートさせました。
一番体が落ち着くから、だそうです。

力を入れるのと抜く加減がよく分かっています。晴れの舞台からもんぺまで、自然体で当たり前に着こなしてしまう現代的お嬢さんです。

お話に身振り手振りが混じって、コミュニケーション能力抜群です。


三吉 通子さん

横浜、田園都市線沿線にある呉服屋さんの看板娘さんです。

根っから
歌舞伎の女形好きです。
女形の所作は、きものを着る上でとても参考になります。

初めて歌舞伎に連れて行って下さったのはおばあさまですが、あまり熱中するので、もう自分1人で行きなさい、と言われてしまいました。(^−^)


今日のきもののテーマは、和風のクリスマスっぽいイメージと「
春を待つ心」。
オレンジは最近似合うようになった色です。

マントが黒なので、反対色を着ようと思いました。
          
  

女将は、豪華な辻が花の帯よりも
背中の折りじわに目が行きました。
きちんとたたまれていた、お手入れ
の上手さが心地よく現れています。
  

きものは、山形の紅泥染め
板締めと帽子しぼりの2種類で染め
分けた凝った紬です。

しぼりの柔らかさときれいなオレンジ色
が色白の
通子さんの肌に良く似合っています。

絵羽の訪問着ですが、小紋風に気楽に着て
います。

帯は辻が花の袋帯、帯締めはお洒落着風の
平ぐけで。
オレンジの強弱でのコーディネート
です。
   

長襦袢は梅の花柄。
長襦袢で春を待っています。(笑)

長身なので、きものを買う時には、
着尺の
長さが気になります。
普通の12メートル程度の長さ
があれば大丈夫。

譲り受けた古いきものは、布が
足りないので、足し布をしたりして
気楽に着るそうです。
          

日本舞踊は、宗家藤間流の名執(なとり)です。
6歳の6月からおけいこを始めました。
一時中断しましたが、大好きな習い事です。


これは、憧れの舞台国立劇場
今秋踊った「鐘の岬」です。
お人形のようにきれいですね。





レーヨン製の大ぶりの
風呂敷をいつもバッグに
入れています。

     ↓


マントをくるくると丸めて
包みます。↓
  


しっかり小さくして出来
上がり。
これをまた、ビニール製の
手提げ袋に
入れて持ち運
べば、嵩張りません。


これが、メールに出てきた
マントです。
既製品でとっても暖かい。

寒いときは、襟元をつめれば、
もっと暖かくなります。
    
   
    広げても、後ろ姿もきれいでしょう!

    


   

これが、おばあさま譲りのもんぺです。
両方の足首にゴムが入り、後ろと前から
紐をまわして、腰できゅっと縛るように
なっています。
惜しげなく使えて、大掃除に大活躍ですって。

通子さんのホームページは、ここ

通子さんが下さったメールです。

「きもの人通信」いつも楽しく読ませていただいてます。 女将さんのお人柄の温かさが伝わってくるような、内容ですね。
実は、私は、呉服屋に生まれ育った、子供の頃からのきもの好きです。
今までにも何 度かメール出そうかなと思いつつ、出し損ねていました。
「ネットで売る事」を漠然と考えていたときに、 書店でアスキーの「インターネットでお店やろうよ!」12月号を見つけました。
女将さんの掲載ページにひかれて買ってしまいました。 こんなふうにきものを愛している方もいらっしゃるのだと感銘を受けました。
ホーム ページ拝見し、 そして、メールマガジンもどんなふうに作られているのだろうと興味がわいて、購読 することにしたのです。 毎号、牛首紬への愛情があふれていますね。
読者参加型の構成もいいですね。皆さん、本当に素朴な 疑問を寄せられます。

もともと、呉服屋とは、そうしたお客様一人一人の相談にのっ てさしあげるものなのです。
何時間もお客様の帯合わせにお付き合いしたり、慶弔の決まり事のアドバイスをした り・・・。本来の呉服屋のあるべき姿を失わなければ、 むしろ今の大きくなりすぎた呉服屋にはできないきめこまかなサービスが続けられれ ば、ネット上で呉服屋が生きていくことができるのかもしれません。

・・・なんて勝手な感想を述べましたが、お許しください。
女将さんのところは旧態 の呉服屋じゃないところがいいところなんですから、呉服屋の愚痴と思って読み流し てください(^^;)

今回11の羽織についての記事、興味深く読みました。 今、長羽織が注目を集めていますよね、あちこちきもの関係のネットサーフィンして いても思うのですが、 業界の中でも今度は長羽織だと意気込んでいたりして(^^;) かく言う私も長羽織愛好者の一人です、と言ってもまだ1枚しか作っていないんです けど。

参考までに紹介しますと、小紋で本当の長羽織を作りました。背が高いので長いほうがしっくりくるせいもあるのですが、昔の日本画のような匂 やかな女性像を目指しているもので(^o^;)
それはともかく栄薪瓶はこだわりの女中(めちゅうと読む)表が黒っぽい地なの>
柄は表が折り鶴、裏はウサギなどの遊んだ柄。 長いと確かに、早坂さんのおっしゃる通り、立ち居振舞いに 気を使います。とくに電車に乗って座るとき。隣の人にすそをふまれないように、と か。でも、気持ちも優雅になっていいものですよ。
家では、少女時代の短い羽織を着ています。

そのほうがパソコンに向かうのも楽ですから。毎日きものを着ているもので。 年末の大掃除には、羽織じゃ鬱陶しいので、毛糸の上っ張りにもんぺをはきました。 これが動きやすいのです。
上っ張りは母の、もんぺは祖母のです。日常着はやはり母からもらった真綿紬。 私の場合、紬の上にもお稽古用小紋の上にも羽織を着ますが、合わせるポイントは、 皆さんと同様、きものの色、ふいんきと羽織の色、ふいんきの相性です。

小紋で作った羽織は、紬をよそ行きの顔にしてくれます。観劇や友達との忘年会程度 なら、帯つき紬に長羽織、 カルチャースクールやお茶のみに行く程度なら、紬や軽い小紋に半幅帯に羽織という 組み合わせ。室内でも脱がなくていいのが利点なので、 コートかけるのに苦労しそうなところへ行くときは羽織を着る事が多いです。

冬の京都のように寒いところへ行くときは、道行コート乃至はもっと暖かいカシミヤ とフォックスのマントをはおります。 室内で脱いだらしまうのに苦労するけれど、そういうときは風呂敷や袋を持ち歩きま す。風呂敷類は、何を着ていても 持っていたほうが無難です。大切なコートを汚さないために。たたんで置かなくては ならないとき、入れるのです。 ホテルのようにクロークがあっても、ショールや手袋をまとめるのに便利です。

最後に牧子さんに。 私の考えでは、おかしいというよりも、冬の装いは、ご自分の体温に合わせるべきで す。これはきものに限ったことではありませんし、冬だけの話でもありません。 冬の寒いときに帯つきショールくらいで歩けるのはよほど温暖な地域か、車でずっと 移動するときくらいだと思います。 手袋も必須アイテムです。肌襦袢はガーゼにして、足袋はネル裏にすることをお勧め します。 寒いからって長袖のシャツを着ると色気がなくなりますから、その辺は好みで調節し てください。 それから、足袋の下にはくストッキングもおすすめです。ふつうのストッキングじゃ なくて和装用に売ってます。

ふくらはぎが冷えなくていいですよ。 さらにおすすめは、和装用ペチコート。これがあると温かいだけじゃなくて、トイレ に行くのも楽なんです(^o^)長襦袢、裾よけの下にはきます。 冬、きもののときに気を付けたいのは、肩、首、手首、足首、脹脛を冷やさない事。 すなわち、きもののとき一番冷えやすい部分なのです。 今更言うまでもないことだったかもしれませんが、一応ご参考までに。 女将さん、つらつら思いつくまま書いてしまいました。最後まで読んでくださってあ りがとうございます。 今後も「きもの人通信」楽しみにしています。

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