○私がきものライフコンサルティングに行き着くまで
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私は、この仕事を始めた当初は、「似合う」ということが
よく分かっていませんでした。
きものを肩に当てたお客様を見ると、なぜか、きものと
顔の
境がぼけて見えてしまいます。
しかし、多くの呉服屋さんは、「これは似合いますよ、
実に良いですよ」
などとおっしゃいます。
だから、私も、そのことが分かる必要が有ると思い
何とか、「似合う」を見極める力を付けたい思いました。 |
そのことを、呉服業界の方に相談しても、「そんなことを教えてくれる人は
いないよ。どこかの呉服屋の女将さんにでもついて習うしかないよ」
と言われました。
そんな時間も無いので、私は、お客様と肩に当てたきものの「似合う」を
必死で見続けました。
そうすると、段々見えてくるものが有りました。
○似合うとは?
多くの方の似合うを見続けると、
どんな時を似合うというのか?
また
どんな方にどんなものが似合うのか
が徐々に分かってきました。
似合う時は、きものとお顔から何かが溶け出したように
お互いに溶け合った素敵さが浮き出てきます。
顔が変わり、お顔が印象強く前に出たようになります。
たとえば、牛首紬の訪問着を羽織られた方の場合、凛とした中にも
しなやかな迫力と女らしさが出てきました。
伊勢型小紋を羽織られた方の場合、通好みのこだわり感を
軽やかに明るく着こなしてしまう力強と美しさが浮き出てきました。
似合うきものは、その方を大きく立派に素敵に見せてくれます。
自信に満ちた大きな包容力やこの上ないエレガントさが備わって感じられます。
それに対して、似合わないきものは、寂しく見えたり、きものの中の
1色だけが違和感がある主張をしたりして、きものも着る方も
お互いに引き立ちあいません。
そのきものを着ても「変わらない」時は、そのきものが
あなたに対して強い力を持っていない時だと思います。
似合うきものは、羽織った途端に、素敵に変わります。
このことが分かって、今考えますと、お顔ときものの境がぼけてみえたのは、
それほどお似合いでは無いきものだったのですね。
○似合う要素を構成するもの
似合う要素を構成するものは、
肌の色・艶
顔の輪郭
目鼻立ち
黒目の色・眉の濃さ・太さ・髪の色
目の大きさや鼻の大きさなど顔のパーツの大きさと形
雰囲気 内面もあわせた全体から醸し出される雰囲気
体型
などです。
顔の輪郭が丸い人はふんわりして見えます
細い人は、繊細でシャープに見えます
黒目の色・眉の濃さ・太さ・髪の色が黒い方は
黒い色を着こなしてしまう要素が有ります。
しかし、黒がその方を暗く見せてしまうこともありますから
調整が必要です。
目や鼻等のパーツが大き目の方は、大胆なものを着こなしますが
お顔に華があるような方は、逆に大きな花柄と喧嘩をする
ような場合が有ります。
このように、様々な要素に合わせて、だんだん似合うものを絞り込んで
いくことが可能です。
○個性をより引き立たせる方法
その方の個性を把握して、可愛い、シック、シンプル、モダン
エレガントなど、お似合いになる雰囲気を把握することが出来ます。
その個性を、ストレートにきものや帯で表現する場合と
変化球を加える場合があります。
たとえば、可愛い方が可愛いものをお召しになっても
それ以上に素敵にならない場合が多いです。
可愛い人が可愛いものを着るのではなく、シックさや粋さを
加えれば、一層可愛さが引き立ちます。
例えば、可愛い方が牛首紬の草木染めの縞などをお召しになったら
シャープな可愛さが出ます。
その時、どこまでどんな可愛いを残して、どんな雰囲気に導くか
という方向は、それぞれの方によって異なります。
例えば、お顔立ちが寂しく見える方は、ごてごてしたものはお好みでは
ないことが多いですが、華やかさを加える色や柄で寂しさを補って
他のセンスに引っ張ります。
可憐さを加えたり粋さを加えたりします。
オークル系のお肌の方は、濃い目の色がお似合いになることが多いです。
そんな方の可愛さや女らしさは帯で加えたら自然に馴染みます。
小柄だからと柄の大きさを気になさる方がいらっしゃいますが
小柄でも大柄を好まれる方もいます。
全体のバランスの問題なので、着姿全体で考えましょう!
このように、あなたの着姿を作りこむ最適なきものや帯が無ければ
あなたの素敵さを作ることが出来ません。
○なりたい自分とは?
また、髪やお顔や全体の雰囲気という外見以上に
私は、こう見えたい!
こんな着姿になりたい!
という想いはとても大きなものです。
例えば、ある格好良いキャリアウーマンの方は、とても凛として
素敵に見えます。しかし、その方は、凛としたご自分よりも
ご両親から愛された可愛い私がご自分のイメージなので
そんなきものを着ている私が、「私らしい」と思われるのです。
こんな内面を知るためには、その方と多くを語り なりたい自分を
私なりに掴むしか有りません。
幸い、きもの人のお客様達は、実際に来店して下さって
長い時間、お話をさせていただきます。
それによって私が探すのは、その方の「なりたい自分」探しです。
ご本人に、それを教えてくださいとストレートに質問したと
しても多くの場合、正解は返ってきません。
私は鏡のような役割をして、その方の求めるイメージを追及します。
○外見と内面の両方で認める「最高に素敵!」
ある時、ある作家さんがお選びしたきものが、とても素敵にお似合いになる
方がいらっしゃいました。
こんなに素敵に見えていいわとうらやましいほどです。
私以外にも、周囲にいる10人以上の方が、その素敵さにうっとりして
いました。
しかし、ご本人は、
ああ・・これです!これです!
とはおっしゃらず、
でも、私はもっと違うから
と、おっしゃいました。
これは、いったい何なのでしょうか?
「私、ピンクの紬が着たいんです」と言ってお越しになる方も
素敵にお似合いのピンクは無視して、黒や紺色のきものばかり
見ていらっしゃいます。
こんな経験を沢山積むことで、私は、外見だけではなく
内面に持つものの大きさを感じずにはいられませんでした。
周りの方がいくら素敵!と言って下さっても
ご自分の心がそれを受け入れられない時、そのきものは生きないのです。
また、ご本人が、「これが好きです」とおっしゃっても
周囲から見た時に、あまり素敵に見えないこともあります。
つまり、その方の内面が納得して
周囲の方も素敵!と認められる、両方がそろったとき
初めて、「最高に素敵!」なのだと思います。
○私の役割は何か?
では、私の役割は何か?ということになります。
私の役割は、あなたの鏡になって
あなたの求める
私の個性やワイフスタイルに合わせた素敵なきもの姿
を見出して
それをあなたに具体的な形でご覧いただきます。
その時に、
きものの素材や格やきこなしのTPOなどに総合的的に精通していて
きもののセンスがあなたと合い
あなたのお好みのきものや帯を仕入れてくる力が必要です。
それが、伊藤康子のきものライフコンサルティングです。
伊藤康子のきものライフコンサルティング
のお申し込みは、こちらのページからお願いいたします。
ご参考までに、
○多くの人に好感度が高いきものと
きもの姿は、大きく分けて2つ有ります。
1)多くの方に受け入れられる好感度が高い色
2)格好良くみえる色
の2つです。
1)は、薄いピンクやクリーム色で優しさとさわやかな女らしさを出せる色合です。
この色の出番は多く、初めてお会いする方との時間、
母や妻として出る場面など好感度の高さを必要とされる
場面で大活躍します。
2)は、黒や紺色などで格好良く見える色です。
この色は、妻や母ではなく一人の女性として凛とした
格好良さを出したい場面で大活躍します。
これらを意識して色を選ばれることをお薦めします。
○黒を着る企業戦士の女性がなりたいピンクの私
会社で男性と伍して仕事をなさる方々は、黒や紺のビジネススーツが多いです。
そんな色をトレードマークのように身につけている方々が
きものを着たい!と思われるとき
日日常的な私!つまり女らしく華やかなピンクなどを着たいと
思われることが多いです。
しかし、ピンクなら良いというものでは有りません。
格好良い私と整合性を付けられるしなやかな大人のピンクを着たいですね。
○個性を生かしたコーディネートは
ショーウィンドーの中に、素敵なきものと帯をコーディネート
していても、それをご自分に当てると何だかぱっとしない
ということが多いと思います。
それは、きものと帯だけでコーディネートしているからです。
きものの着姿は、着る方がいて、初めて始まります。
まず、その方に合うきものを選び
次に、その方ときものに合う帯を選び
その次に、その方ときものと帯に合う帯締め・帯揚げを
お選びするのがベストです。
その場合、帯は、ご着用シーンに応じて変化することでしょう。
お会いする方や立場やシーンに合わせて、格の高い袋帯に
なさったり、おしゃれを楽しむ名古屋帯になさったり
季節を表現できる帯を選ばれたりすることでしょう。
帯締め・帯揚げも、シーンに合わせた格あわせが必要ですが
その日の光や気温の加減に大きく影響を受けます。
特におしゃれものの場合は、その要素が高いです。
こうやって出来あがったコーディネートは
その時のシーンと今のあなたを「こう見せたい」「こう在りたい」
という意思を含めて作り上げた見事な着姿になっていることでしょう。
この時のコーディネートは、ショーウィンドーに飾られて
いたものと全く異なることでしょう。
きものは、着る方とそのシーンに対してコーディネートを行うべきですが
ショーウィンドーのコーディネートにはこの要素が入っていないのです。
また、同じきものを2人の方が着られるとしたら
帯選びは、全く異なる帯を選ぶことになるでしょう。
なぜなら、大きく個性が異なるからです。
このように、きもの選びは、全て着る方に対して行うことが
とても重要です。
ですから、その方の個性とライフスタイルの把握が出来なくては
ベストなきもの提案は難しいと思います。
これが私が考える理想的なきもの選びであり
これ以外のきもの選びは、リスクや無駄が多すぎると思います。
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