大島律子の世界
この紬は、国産生糸、手引き座繰り糸、手引き玉糸、 真綿つむぎ糸を使って草木染めした手織紬です。
国産の糸というのは、良いものを求めた結果に行き着く所です。
また、手で糸を引くとか紡ぐということも同じで、 機械などの単調な繰り返し作業ではない、頭脳と技と心を使った 行為で、その結果がすばらしい風合いとなって表現されるのです。
そして、節のある紬糸を使うことにより、 温かみのある風合いが生み出されるのです。
草木染で糸を染めることにより、 堅牢度の高い、深い色合いがにじみ出ています。 経糸には、梔子で染めた糸を使用し、 緯糸には、現の証拠を染料として用いています。
「現の証拠」は、風露草(ふうろそう)科で、 昔から下痢止めの薬草として有名で、 煎じて飲めばぴたりと効くところから 「現の証拠」と名付けられました(薬効の表現)。 梔子と同様に、草木染めの染料として利用されます。
また、色糸にはコチニールを使い、 効果的に細かいストライプを織り出しています。
手づくりの素晴らしさの詰まった一枚です。 |