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[ 伊藤康子のきものの話 . . . . .]

 

伊藤康子のきものの話

 

絹は生きているということ

きものの多くは、絹や木綿・麻などの天然繊維でできています。
このことは、きものが「生きている」ということを意味します。
生きているとは、繊維自体が呼吸し、湿気や気温や光に対して調節機能を持ち
変化するということです。

このような天然繊維に対して、化石燃料(石油など)から人工的につくられる化
学繊維があり、化学繊維は、呼吸をせず変化が少なく安定的な状態を保ち安価で
す。化学繊維が多い洋服の世界に慣れた私達がきものに入門するときに、このこ
とに戸惑うことがあります。または、気付かない多くのことが実はあるのです。

染めは、変化します。染め上がった途端に色は変化し始めます。
染め上がったばかりの色は、すぐに太陽光や蛍光灯の光で焼けます。
ですから、最初の色ではなくなっているのです。

このため、きもののお手入れで、古くなったり、色焼けしたおきものを
「元の状態にしてください」と言われることがありますが、元の状態は特定できな
いのです。
おきものを室内で展示していても、蛍光灯で、特に肩の部分など
が焼けることが多いです。
ですから、ご注文いただくと、まっさきに、染め元で色やけなどの確認を行いま
す。それは、古いからとか長く展示しておくからとは限りません。
染め上がったばかりものもでも、それは起こります。

焼けやすい色と焼けにくい色も有ります。
女性が大好きな紫色は、焼けやすいので染める人に敬遠されてきました。
青も焼けやすい色です。

染色した繊維製品の色の堅牢さを現す染色堅牢度というものがあります。
日本の堅牢度は、海外よりも高い堅牢度で、きのも堅牢度表示をしているもの
が多いです。
それでも多くのものは、手仕事で染めるので、微妙な染めむらがあるのもある程
度当然で、それが手仕事の味にもつながります。
つまり、安定的で定まった状態がとても難しいといえるでしょう。

また、仕立てあがったきもの寸法は、変化します。
ハンガーに掛けて伸びるという分かりやすい変化以外に、絹は、湿気を吸い、
それを発散し、湿度を自然に調整する働きがあるので、湿気が多いと収縮したり
黄変することが有ります。
極端な例では、仕立てあがった反物を呉服屋さんに納めるために運送する何時間
かの間にもその変化が起こり、きものの寸法が変化することがあります。

ああ・・なんて繊細なのでしょう。

このように、洋服を着こなし、1+1=2と割り切った生活になれた現代人にとっ
ては、とても微妙で繊細な世界です。その繊細さを受け入れなければ
きものの世界を快適には過ごし難いです。

このように大きな包容力もいりますが、それが、自然を受け入れると言うことではないか と私は思います。

日本の天候や風土と共に生きて呼吸する絹や麻の天然繊維を身にまとうことは
自然と共に生きるという、とても人間的な在り方だと思います。


 


 

 

 


 



         
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