京の名刹 壬生寺に今に伝わる壬生狂言は、正安二年(1300)三月、円覚上人によって創められたといわれます。爾来この狂言に用いられる衣裳は、世々善男善女の寄進する衣裳があてられていました。鳳凰を向かいあわせて丸文にし桐花をその四方におき、立湧式の中に配した格調あるこの裂は、嘉永三年(1850)に大阪屋安二郎外八名の信仰あつき人々の寄進になるもので、狂言衣裳に使用されていた壬生寺裂の一つです。