【2004.9.7のメルマガより】
風の盆の旅行2日目の午後4時半
金沢全日空ホテルの一室で私たち40名ほどを前にして
直木賞作家 高橋 治先生は語って下さいました。
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「足音をしのばせて、浮き立ったように踊るこの踊りの
熟練度をご覧になったらきっと感動なさると思います。
夜流しの人たちと一緒になって踊るのがこの踊りの醍醐味です。
鏡町に2人の踊りの名手が居ます。
【風】と書いた白い帯の人がいたら、その人から離れない
ようになさって下さい。
おわらは3日間限りのお祭りです。
残り362日をこの日のためにけいこしています。
先日、
まだ歩くことの出来ない幼い子が、
お父さんが胡弓(こきゅう・中国の楽器)を弾きだしたら
両手を挙げて踊りだしました。
これが何を意味するかお分かりでしょうか?
1年の362日、毎晩けいこが続けられているのです。
お父さんは毎晩胡弓を弾き、
その子は毎晩それを聞いています。
ですから、おわらは自分たちが楽しむものです。
そこにあんた達(観光客)が勝手に来ているんだということに
なります。
太鼓・三味線・胡弓、どれも皮で出来ていますから
少しの雨でも弾けなくなります。
このおわらは、彼らが1年かけて磨き上げてきたものを
見せる3日間です。
「自分が上手く出来た」
これが彼らにとっておわらの最高の評価なのです。
それから、
「日本の街百選」にも選ばれた諏訪町の街並みをぜひご覧下さい。
流しを上ってくるのを上から見るのが綺麗です。
踊り手は坂を下るのは少し辛いようです。
その諏訪町の街並みが最近綺麗になりました。
ある一軒が家の前を綺麗にしたのです。
それが刺激になって待ちの中がとても綺麗になりました。
この街を見るだけでも土産になります。
また、私が描いた小説(風の盆恋歌)からか
「水ふよう」の花を全部の家が植えています。・・・
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この高橋治先生(元映画監督)が、牛首紬と風の盆の祭りを
題材にした恋愛小説小説「風の盆恋歌」を書かれたことで
今のように「風の盆」が観光化されました。
私たちは、その観光客とは別の時間帯を提供していただいて
特別な見学をする事ができます。
その上、牛首紬を作っている産地の方々の暖かい
おもてなしを受けて心が洗われるような時間を過ごせます。
観光ツアーっていう感じじゃないですよ。
「西山さん(産地)に呼んでいただいた人たち」が
「暖かく迎えていただく」
っていう感じで終始します。
このツアーは、産地が特別な関係先だけを呼んで
下さいます。
きもの人はその内の1社です。
しかし参加いただける人数も限られています。(5名)
今回参加下さった順子様は20年以上前に
風の盆の光景をメディアでご覧になり、その後何回か
ツアーを探されたのですが
「みんな、夜11時前に帰らなくてはいけないものばかりでした。
今回ネットでやっとこのツアーにめぐり合えて申し込みしました。」
とおっしゃっていました。
はい、こんなツアーどこにも無いです。
それから【風】って書いた帯ですけどね
あれは特別に白い牛首紬の帯に高橋先生がご自分で
3枚だけ書いて、踊りの上手な方にプレゼントしたんです。
こんな → 感じの帯です。
生地は同じで、墨で「風」って書いていました。
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