8/28/2002(水)【本物】
お客さまの誂えのきもので、「このきものみたいに」というこのきものを作った方がどなたかと思ったら、以前から面識があったけど接点がなかった作家さんでした。工房まで訪ねて色々とお聞きし見学させていただきました。
踊りの衣裳つくりでてんてこ舞なさっている中には、「本物」の物作りが息づいていました。
何が本物かの論議になって、「耳で聞いた話は当てにならない、貴女の足で探して目で見つけなさい」と言われました。
一見格好良く聞こえる「本物」志向ですが、手織りなら本物か、日本製なら本物か、本物の中にはきっと理不尽な部分や不合理な部分があるはずです。それらをどこまで受け入れられるのか?
そこには受け入れる側の判断が入ります。
お客さまにとって何が良いのか?私は何を選ぶのか?「ああ、やっとここまで来た」と思ってもどんどん色んな課題が出て来ます。 「ふう〜〜。」
その作家さんの作品の中で「これは売れない」「もう2度と作れない」というきものが有りました。
海外で見た光景を、奥様に内緒でこつこつと長い年月かけて作り上げた名作です。「これを作っていたらうちはつぶれちゃうよ。1000万円もらっても採算が合わない」と言うほどの手間がかかります。
だけど良いきものです。 私はこのきものの良さに確信が有ります。「だからネットに載せさせて〜」と交渉中です。
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